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寝間着姿の彼女は普段着なはずなのに随分久々な感じがする。ミヤコは顔色も良く、体調は悪くなさそうだ。
ただ、まだ安静を強いられているため、ベッドからは起き上がることはできない。
「まずは御礼をせねばならんのぅ。宗吉、クロ、そして……」
おそらく初対面だろう。若菜とミヤコは双方握手を交わす。
「そなたの名はなんという?」
ミヤコが羅国語で喋っている。森国、万国だけでなく、羅国も語学を達成しているようだ。
「若菜です。羅国語上手なんですね」
「実験段階で色々と覚えさせられたからのぅ。まぁそれより……」
再び私達に顔を向ける。どうやら用件はミヤコの耳にも入っているらしい。話が早い。
「デュランは自分の声の周波数、また匂い、そして言語が一致した時に魔生物および魔生人に対して強い強制力を発揮しておる」
「防ぐことは?」
「闘刃の隠力で特殊な音と匂いを遮断することができるようじゃ。一度、試したことがあるらしいわい」
そんな事もできるとは。しかし闘刃は仲間ではない。今は敵だ。
もしやデュランはこれを見越して唯一の天敵となる闘刃を自分達側に引き入れた……?
「……すまぬ。少しの間、クロとわらわだけしてくれぬか?」
彼と若菜は顔を見合わせ、小さく頷いてから部屋から一旦出る。
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