第二十七章 秘密

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しばしの静寂が妙にむずかゆい。こんな状況で私だけに話すことなど何もないと思うが。   「……魔生物中毒。魔生人が魔生物を喰らい続ける要因となっている理由であり、おぬしが不安にしているものじゃ」   「別にそんなことはない」   だがお構いなしにミヤコは話を続ける。 「覚醒剤というものを知っておるか?気分が高まると同時に幻覚を見るようになるようじゃ。症状はよく似ているらしい」   私がデュランから説明された内容とは違う。魔生物中毒は魔生人を強くするための促進剤の役割を担っており、より優れた魔生物を喰らうことで強くなれる。私が伝えられたのはこうだ。   「肉体的に強くなるわけではない。魔生物を喰らうことで気分が高まり、古代生物の力を効率良く使えるようになるだけじゃ。つまり身体に魔生物を保持している時は一時的に強くなる」   「それは……」   「身体に魔生物があまりないときに力が弱まっている事はあったじゃろう?おぬしは寿命の事を考えていたが、それは全く見当外れじゃ。魔生人は短寿命ではない。ホムンクルスだからじゃ」   ……思い当たるふしはある。だがそれがわかったとして私はどうすればよいのか。覚醒剤と同じならば私は既に末期まできている。   「わらわが捕まった理由はそこにある。クロよ、今から言う事は自分の中だけに留めておくのじゃ」
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