第二十七章 秘密

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‡   クロとミヤコだけの話か。何やらきな臭い感じがする。だが俺達に言えないとはつまり、魔生人に関する繊細な事だろうと推測はできる。   ……親しき仲にも礼儀あり。やっぱり似ている。クロと闘刃は似たような性格だ。だからわかる。   クロにはまだ俺に見せていない隠されたモノがある。   けどそれを俺が暴いてはいけない。確信はない。何となくそう思う。   「あの、私はこれからどうすればいいんですか?」 「ん~……そういえば滞在は期間決まってるの?」   「一ヶ月です。あと一週間が期限ですね。でも、闘刃君は引き下がらないようです。どうあっても今は敵対勢力……」   歩いていた若菜ちゃんが立ち止り、ため息を漏らす。そういえば闘刃に会うためにここに来たんだっけ。このままでは本格的に戦うことになりそうだ。蓮花とも闘刃とも。 若菜ちゃんには無理だろう。つい先日まで仲間だった者が敵に回ったことに切り換えができないでいる。しかしそれが普通だ。 「一度若菜ちゃんも羅国に帰った方がいいんじゃない?学園の先生やってるんでしょ?」 そうだ。彼女は帝国兵ではない。一般の……と言うと変だが、戦うことを義務づけられた隠力者では決してない。幸い、彼女達の当初の目的は果たされた。俺も闘刃も生きている。 「でも、このまま放っておくわけには……」 「放っておくわけにはいかないのは学園の生徒たちだよ、若菜ちゃん」 「え?」 話が見えてこないのか、訝しげにしている。俺も今の学園の現状を知っているわけではないが、一つだけわかることがある。それは今が確実に昔より平和であることだ。 学園が出来た当初、生徒はほとんどが戦争を体験し、生き延びた者達で構成されていた。若菜ちゃんのような例外を除けば大半が人間との争いを経験している。 逆に今は戦い慣れしていない隠力者が多いのではないだろうか。血生臭いあの戦争を肯定するつもりは更々ないが、あれがあったからこそ、俺達は異能の生物とまともな精神で戦えている。 「魔生物の存在を早く教えた方がいい。あの男は羅国に宣戦布告をしに行った。隠力者が魔生物と戦う日は遠くない」
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