第五章 万国の事情

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「いいの?店閉めちゃって?」   「昼から営業するっす。せっかく故郷から先輩方が来たのに急かせるのもあれっすからね」   木製の椅子は想像よりも硬く感じず、触り心地がいい。匂いも悪くない。   これも健太君が作ったのだろうか。製作技術は学園内でも一番だったから納得できる。   「しかし蓮先輩はともかく流人先輩と若菜先輩は言葉が大変じゃないっすか?万国語は難しいっすからね」   「まぁその辺はごまかしながらかな。なんとかなるでしょ」   楽観的な流人君の考えには賛同しかねるけど、私も一ヶ月という期間であるなら無理に話せるようにならなくても構わないと思っている。   「それで健太。宗吉と闘刃には会ったのか?」   私達も和んでいた空気を変え、真剣な面持ちで返答を待つ。   さっきと同じで健太君は少し話すかどうか悩んでる節がある。だが仕方ないっすかねと前置きをして口を開いてくれた。   「一ヶ月ちょい前すかね。宗吉先輩に会ったっすよ。変わらず元気にしてたっす。闘刃先輩はその数日後すかね。怪我をした人達の治療をやってたのを偶然見つけて。ぶっきらぼうで無愛想でしたけど」   手掛かりが見つかった。私は固唾を飲んで続きを聞く。  
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