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ここからは仮定になる。
健太君は私達が首都に着いた時点で気付き、同居している誰かを家から出した。そして何食わぬ顔で私達と対面。店を一時的に閉店にすれば『同居している誰か』は戻りやすい。
じゃあ隠す理由は?さすがに恥ずかしいとかではないだろう。ともすれば私達に対して秘密にしておかないといけない何かがある。
「お、髪の毛が落ちてる。……茶色い毛?」
流人君が自然に証拠を拾ってくれた。私達は健太君含めて全員黒。茶色なんてあるはずがない。
「お客のじゃないっすかね?うちは討伐協会のも請け負ってるから会合でたまに来るんすよ」
最もらしい事を言われてかわされた。ならば……
「あれ?あそこのタンスからはみ出てるのって女物の下着?」
当然嘘っぱちではみ出てなどいない。だけど明らかに健太君はうろたえた。
「そ、そんなものないっす。ていうかはみ出て……」
「本当?ちょっと確認させて」
私は急速でタンスまで行き、容赦なく開ける。
「……あ」
私も正直やり過ぎた感が拭えない。いやでも……。
本当にあったのだからこちらもびっくりする。
「こ、こ、これは俺が履くっす!!いや~、女物は意外に履き心地が良くて……」
空気が凍る。うん。すっごく無茶だよね。それ。
「ケンちゃん!?あなたそんな趣味あったの!?だったら言ってくれればいくらでも」
店の表から驚愕した表情で知らない女性が飛び込んでくる。
「…………」
息を飲む展開というか何て言うか。とりあえず。
「健太、どういう事か説明してくれ」
私の言いたい事を蓮さんが代弁してくれた。
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