第五章 万国の事情

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闘刃君や宗吉さんに関する情報ではないけど、私達は流奈という隠力者についての話を一通り聞くことができた。   蓮さんは時折頷きつつ真剣な眼差しでメイデンさんの昔話に夢中になっていた。   「……そう。ルナはそんな経緯があってあなた達に託したのね」   「こうして私と闘刃と宗吉が全員この地に来たのは偶然とは思えない。流奈姉さんが呼んだのかもしれないな……」   討伐協会と魔生物はそんな因縁があったなんて。   事態は予想を遥かに上回っている気がする。魔生物と人間は種として生存競争しなくてはならない……。   「ところでメイデンさんは羅国語上手ですね。それは健太君から?」   「ケンちゃんが羅国に戻ることも有り得るから、覚えなきゃと思ったの。愛のためなら余裕だわ」   健太君が帰国しない理由がわかった気がする。彼女が単純に好きだから。これに尽きる。   「ケンちゃん、この方達なら真実を話してもいいんじゃないかしら?」   真実?ってことはまだ明かされていない事がある?   そうだ。健太君が躊躇っていた謎がわかっていない。   「……メイはいいんすか?自分の首を絞める事になるんすよ?」   「ルナが育てた子供だもの。私は信用するわ」   目をつむり、健太君はしばし考え込む。それほど秘密にしておかなければいけない事って一体……
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