第五章 万国の事情

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「今から一ヶ月前、魔生物と討伐協会で大きな戦いがあったの。私達討伐協会は幹部と副会長総出で街を守った。けど、相手は上級古代魔生物のヤマとザード。加えて数万の配下。数で私達は圧倒されていた」   それであんなに建物が……。首都でさえそんなやられ方だと他の町では壊滅状態だろう。   「相手を撤退させることができたのはソウキチ、トウジン、クロのおかげよ。その勢いで会長は魔生物の完全撃退を狙ったわ。でも彼らは魔生界に行ったまま帰ってこなかった。会長のミヤコも副会長のリーンもそう。行方知らずなの」   「そのミヤコとかリーンとかクロとかいうのも魔生物?」   「討伐協会上層部は全て人間ではないの。デュランの意思に背く魔生物で構成したのが始まり。でも勘違いしないで欲しいわ。上級古代魔生物は人間を喰わないのよ」   それは……魔生物と名乗っていいのかと私は思う。私の中では魔生物イコール人を喰らう生物となっていたから。   そうすると魔生物の定義がわからない。   「普通の魔生物は人間の遺伝子と別の生物の遺伝子を組み合わせたときの失敗作。偶然成功したのが上級魔生物なのよ。でも確実性が欲しかった魔生物の創造主であるデュランは古代生物の遺伝子が人間との遺伝子と適合するのを見つけ、以来成功を続けたわ」   やばい。頭が痛くなりそうな話だ。現に流人君もこんがらがってそうに見える。   「簡単に言うと下級魔と中級魔は失敗作、上級魔が成功作でそれをさらに改良したのが上級古代魔ってことよ」   凄くわかりやすい。なら最初からそう言ってくれたら、と思うのは贅沢かな。  
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