第六章 深い森の中で

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首都から少し離れた霧の深い森。ムシンの森と呼ばれている。魔生物が数多く生息し、人間が近付くことは殆どないらしい。   だが討伐者にとっては魔生物の狩場となっている。中級魔生物もいるため、いわゆる銭稼ぎにはもってこいの場所のようだ。   クロという魔生人の目撃は魔生界の手前、この森でされたという。   「姐さん、別れて捜しますか?俺達は一応互いに気配を感知できますからはぐれることはないと思いますよ」   「……うん、そうだな。この位置から北を私が、東を流人が、西を若菜が頼む」   「この位置って、何か目印ありますか?」   周囲は木で囲われていて特徴となる物がない。と思っていた時、蓮さんが正拳突きで木を一本殴り、へし折って倒した。   さらにもう一本、倒れた木が交差してバツ印になるように今度は蹴りで根元を破壊する。   平気な顔して蓮さんは結構はちゃめちゃな事をする。驚いて近くの木に休んでいた鳥が一斉にいなくなった。   「これでわかる。時間を決めよう。日没まで四時間。それで発見できなければ今日は諦める。集合はここだ。わからなくなったら私の隠力を察知してくれ」   「りょ、了解」   腕時計で方位を確認し、私達はそれぞれの方角へ歩く。   地道な作業になりそう。けど、捜すにはこの方法しかない。  
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