第六章 深い森の中で

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しばらくの間蓮さんと魔生物の会話が続く。やっぱり言語って重要なのかな……。   「なぁ~んだ、そういう事かよ。面倒臭い奴もいるもんだな」   「事情をわかってくれてありがとう。私もそんな暗黙の規則は知らなかった。以後気をつけよう。それで、私達はとある魔生人を捜しているんだが……」   「魔生人?何だそりゃ?」   「魔生物を喰らう生物の事だ。黒髪で黒い翼を生やした黒い目を持つ女、『クロ』という名前らしい。知らないか?」   「クロ……あー、ソウキチと一緒にいた奴がそんな名前と特徴だったな」   判別できない言葉の中で私もはっきりとあの魔生物の口から『宗吉』という単語が出てきた。   蓮さんも声の大きさを上げてさらに詰め寄る。   「お前は知り合いか!?何かそいつを見かけた事は!?」   「ん~、一ヶ月くらい前か?ソウキチが俺にラルフってイカす名前をくれて、お礼に天獄の境界ってとこまで案内したんだ。クロは連れっぽかったけどよ、あいつ魔生物喰うのかよ。びっくりだぜ」   「今は見かけてないか?最近この森で目撃されたという情報がある」   「俺は知らねぇな。一応主だけどよ、この森広さが半端じゃねぇんだ」   ようやく終わったようだ。と、私とは逆方向に行っていた流人君も調度よく姿を現す。   「……何これ?」   まぁ普通はそんな反応だろう。  
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