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若菜達が去ったのを見計らい、私は隠力を使って奴の高さまで飛んだ。
「ほぅ、人間の匂いがする異能の生物。貴様も奴らの同種の者か」
こいつも宗吉達の事を?しかしどうもメイデンのような魔生物とはまた異なる。
「その『奴ら』がどこにいるのかを私は知りたい。だがその前にこの森を焼く理由を教えろ。答えないのなら潰す」
最近私は暴力至上主義だった昔の性格がよく表に出ている。良くない事続きで短気になっているのかもしれない。
「悪くない考えだ。やってみろ」
奴の周りから風が舞い、たちまち竜巻となって炎を巻く。
「……と言いたいところだが、遊んでいる暇は俺にはない」
「なっ!?」
風と炎が混ざり合い、熱風とも言い難い灼熱の嵐が私を襲う。
初っ端からこんな攻撃を仕掛けてくるとは容赦ない。
「フゥー、ハッ!!」
己の気を結界とし、あらゆる攻撃から身を守る裏羅刹流、羅闘気。それを纏い、炎の嵐の中を突撃する。
「……いない?」
時間にすればほんの十秒程。その短さで顔を隠した魔生物は私の周辺からいなくなっていた。
森の中に忍び込んだのか?しかし炎は依然全体に被害を及ぼしている。
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