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「っ!?」
頭上から肩口に光の刃が突然直下する。羅闘気で防御していたので刺さりはしなかったが、衝撃をまともにくらい、体勢を崩される。まさか真上にいたのか。
その間に奴は光刃を無数の小さなかけらに変えて鋭利な雨を降らしてくる。
「っ……こざかしい!!」
耐えるのはむしろ危険と判断し、私は片腕で顔を防いで閉じた瞳のまま直上に重力波を打った。
同時に攻撃が止み、奴が私がいる高さまで降下してくる。どうやら私の隠力で錫仗が弾き飛ばされたようだ。
「圧力を感じた。貴様は物を圧迫するような力を持っているな」
「暇ではないんじゃなかったのか?私は弱くないから時間を割くことになるぞ」
背景が全面に赤と黒に変わる。この森は上からだと地面が見えないくらいに茂っているから全焼も有り得る。何が目的か知らないが酷い有様だ。
「確かに一理ある。貴様は実際手強そうだ。……では休戦とするか?」
「随分と腑抜けた態度だな。こちらにやめるつもりはない」
すると奴は一息入れて人差し指を私に向ける。
「魔生物は全て悪か。それともただの戦闘狂か。第一俺のやった事に何で目くじらを立てる?この森は下級中級魔の巣だ。貴様らにとっては喜ばしい事だろう」
同じ魔生物なのに罪意識がない?上級とは別物と考えているのか?……いや、今はそんな事はどうでもいい。
「仲間が危険に晒された。それ以外の理由などない」
「仲間?まぁいい。俺も二つの事を同時にするのは……ん?これは!?」
話の途中だというのに突然奴はあらぬ方向に飛んで行く。逃がすわけにはいかない。私は見落とさないように後を追った。
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