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追跡を開始して一分程度。奴の速度が急激に落ち、ある一点で立ち止まる。
その時私と奴の間に黒い何かが通り過ぎた。
「あれは!?」
漆黒の翼に黒い髪、まだ少女に近いとも言える容姿。
特徴に一致したのは言わずもがな、私は服装に仰天した。
隠力養成専門学園の制服を彼女は着ている。
「クソッ、魔生物を喰らい過ぎて暴走している。ロゼ!!目を覚ませ!!」
奴の言葉も虚しくロゼと呼ばれた彼女は黒い爪を伸ばし、奴に急接近する。
「クッ、呼びかけも無駄か」
それを寸前で回避し、何故か私の所に来る。
「おい貴様、強いのなら協力しろ。ロゼを気絶させる」
「なっ!?」
「さっきの続きなら後でいくらでもやってやる。今のロゼは見境がない。貴様にも被害が来る」
「……『貴様』じゃない。私は蓮花という名前がある」
私も彼女を捜していたのは事実。敵対しているであろう魔生物ではあるが、状況も状況だ。
彼女に視線を変え、戦闘態勢に入る。
「俺はザードだ。ロゼは基本的に魔生物の俺を喰らおうとする。隙を見て一発必中の大きな一撃を当てろ」
クロは私達に狙いを定め、背中から黒翼とは別の九つの蛇のような生物を出す。
あれが……魔生人。魔を喰らう生物。
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