第七章 魔生人(前編)

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追跡を開始して一分程度。奴の速度が急激に落ち、ある一点で立ち止まる。   その時私と奴の間に黒い何かが通り過ぎた。   「あれは!?」   漆黒の翼に黒い髪、まだ少女に近いとも言える容姿。   特徴に一致したのは言わずもがな、私は服装に仰天した。   隠力養成専門学園の制服を彼女は着ている。   「クソッ、魔生物を喰らい過ぎて暴走している。ロゼ!!目を覚ませ!!」   奴の言葉も虚しくロゼと呼ばれた彼女は黒い爪を伸ばし、奴に急接近する。   「クッ、呼びかけも無駄か」   それを寸前で回避し、何故か私の所に来る。   「おい貴様、強いのなら協力しろ。ロゼを気絶させる」   「なっ!?」   「さっきの続きなら後でいくらでもやってやる。今のロゼは見境がない。貴様にも被害が来る」   「……『貴様』じゃない。私は蓮花という名前がある」   私も彼女を捜していたのは事実。敵対しているであろう魔生物ではあるが、状況も状況だ。   彼女に視線を変え、戦闘態勢に入る。   「俺はザードだ。ロゼは基本的に魔生物の俺を喰らおうとする。隙を見て一発必中の大きな一撃を当てろ」   クロは私達に狙いを定め、背中から黒翼とは別の九つの蛇のような生物を出す。   あれが……魔生人。魔を喰らう生物。  
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