第七章 魔生人(前編)

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蛇がカラダを伸縮性のあるゴムのように伸ばし、私達に食らいつこうとしてくる。   二手に離れ、拡散させた後に私は拳を溜め、一匹の蛇に重力を乗せて上から殴り下ろした。   しかし他の蛇は一向に止まらない。それぞれが違う意識を持っているのか?   私に向かってきた残りの三匹が牙を剥き出しにして襲い掛かる。   「ん?」   だが私の周囲に発生した強風の竜巻が蛇の接近を阻害する。   「惑わされるな。九大蛇は一匹のみ。ロゼの首に巻かれている奴が本物。他は操作されているに過ぎない」   ザードにも同様の防御壁が生じている。やはりこの男のおかげか。   「クロは魔生物をカラダの中に飼っているのか?」   「古代生物だ。太古に大地を支配していた者をそう呼ぶ。しかしあんな風にできるのはロゼだけだ」   蛇が効かないと知ると、クロは両手を広げてその手を互いに近づける。   「グランドバスターか!!」   再び別れ、クロの直線上から離れる。放たれた閃光の巨大砲弾は遥か後ろにあった山々の形を失う程に消滅させた。   これはもはや隠力者の力をも凌駕している。私は魔生人の生物としての危険性を感じた。   加減などを考えている場合ではないのかもしれない。やるのなら本気で。   羅闘気を身体から右拳に集め、さらに隠力も集約させる。   クロはザードに意識が向いている。間合いまで一気に……加速!!   「羅刹流、重羅闘拳!!」   「!?」   反応された。一瞬の出来事であったが、クロは瞬きすら許さない速さで私の拳を黒い腕で受け止める。しかし。   「まだまだ!!」   精神をもっと強く。力で押し切る。   ついにクロの腕を弾き、カラダに大きな隙間が空く。そこに今一度、力を込めて打つ。   「ハァァァッ!!」   大蛇が身をていしてクロをとっさに守る。だがそれで防げる程羅刹流は甘くない。   羅闘気と隠力が組み合わさった一撃は衝撃をカラダに貫通させ、完全に決まった。  
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