序章 非情な現実

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もしやと思い、彼女達の反応を見る。   「今日聞いたばっかだしなぁ、言語の事もあるし……」   答えにくそうに京子さんは頭を掻きながら唸る。一方の流人君も同様の様子。   「若菜ちゃん、実は万国は特殊な国で森国とも羅国とも親交があまりないんだ。だから公的な理由じゃないと入国ができない。健太のような留学とかのね」   私が考えている以上に難しくてややこしい問題がある、と。確かに気持ちだけでは解決できない事がこの世の中には多々ある。   「闘刃君と宗吉さんの事は……」   「何もしないわけじゃないけどね。一応、うちの隠力執行部には万国語も話せて、と~っても強い隠力者がいるし」   「黙っちゃあいないだろ。幼なじみがどちらも行方不明となってしまってはな」   「それって……蓮さんの事ですか?」   元執行委員会委員長で今は隠力執行部の副部長。近接戦闘では羅国最強と名高い彼女ならば。   というか正直な所、荒れてそうで怖い。   「最初は凄かったよ。物凄い剣幕だったし、国として動いてくれないなら辞表出してでも行くって言ってたし」   「部長の禅がどうにか止めたけどさ、何せ急を要する事件だからねぇ。ま、私らは部長の指示に従う事にしたよ。所属している身だから」   わかる。これが最適な対応だ。勝手な行動は許されない。彼女達は帝国軍の一部。軍は国の許可がないと動けない。   納得するしかない。
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