第七章 魔生人(前編)

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翼は飛翔する力をなくし、クロはそのまま地上へと落ちて行く。   「上出来だ」   それをザードが燃え上がる森に入る前に抱き抱える。   気絶したのか。多分殺してはいない。その手応えはなかった。   「クロをどうするつもりなんだ?」   「デュランの元へ連れて行く……と言いたいところだが」   ザードが私にクロを渡して来た。彼女は私と比べて軽い。持つ分には支障ないが、どういう事なのかさっぱりわからない。   「ロゼは今過剰摂取により魔生物中毒にかかっている。こちら側にいては治療もできまい。一時的にお前に預けておく」   「デュランという事は敵……なんだな」   「そういう事だ。協力した礼に貴様に良い事を教えてやる。宗吉と闘刃は死んでいない。魔生界で生きている」   「本当か!?」   「フッフッフ、味方かどうかは知らんがな」   突風が視界を遮り、収まった頃にはザードはこの地から消えていた。   捨て台詞が異様に気にかかる。宗吉と闘刃は私の大切な仲間であり、幼なじみだ。敵対するような寝返りは絶対にない。   「……首都の健太の所まで戻った方がいいな」   ザードが言っていたもう一つの内容、魔生物中毒というのも知る必要がある。   にしても、学園の制服か。   相変わらずというかなんというか。宗吉の奴め、とんでもない変態だな。
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