25人が本棚に入れています
本棚に追加
/457ページ
翼は飛翔する力をなくし、クロはそのまま地上へと落ちて行く。
「上出来だ」
それをザードが燃え上がる森に入る前に抱き抱える。
気絶したのか。多分殺してはいない。その手応えはなかった。
「クロをどうするつもりなんだ?」
「デュランの元へ連れて行く……と言いたいところだが」
ザードが私にクロを渡して来た。彼女は私と比べて軽い。持つ分には支障ないが、どういう事なのかさっぱりわからない。
「ロゼは今過剰摂取により魔生物中毒にかかっている。こちら側にいては治療もできまい。一時的にお前に預けておく」
「デュランという事は敵……なんだな」
「そういう事だ。協力した礼に貴様に良い事を教えてやる。宗吉と闘刃は死んでいない。魔生界で生きている」
「本当か!?」
「フッフッフ、味方かどうかは知らんがな」
突風が視界を遮り、収まった頃にはザードはこの地から消えていた。
捨て台詞が異様に気にかかる。宗吉と闘刃は私の大切な仲間であり、幼なじみだ。敵対するような寝返りは絶対にない。
「……首都の健太の所まで戻った方がいいな」
ザードが言っていたもう一つの内容、魔生物中毒というのも知る必要がある。
にしても、学園の制服か。
相変わらずというかなんというか。宗吉の奴め、とんでもない変態だな。
最初のコメントを投稿しよう!