第八章 魔生人(後編)

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メイデンさんとフォードさんは一度討伐協会に戻ると言い、私達はこれからの事について話し合うことにした。   「……魔生界はどうやっても入れないのか?」   「オウルイーターっていう全てを飲み込む何かがある限り無理っすよ」   「何か?」   「『何か』っす。吸い込まれて戻ってきた奴がいないから調査も不可能なんすよ。一応仮説はあるんすけどね」   断崖絶壁でなおかつ引き込まれるような吸引。誰も好き好んで調べに行こうとはしないか。   「仮説とは?」   「ずばり俺は『何か』がヴァンサーの装置ではないかと考えているっす。というのも、宗吉さんの剣……つまりルナブレードがオウルイーターの停止の鍵になっていたんすが、ヴァンサーがやはり関係していると思うんす」   ヴァンサー……それも泪から貰った本に書いてあった。魔機物と言われる魔生物を形態する物質の中で特殊な部類らしい。軽くて丈夫なのもそうだが、生命を持ち、持ち主の意志を汲み取るという何とも信じがたい事象を起こす代物だという。   「つまり……壊せるのか?」   全員が蓮さんに注目する。破壊とはまた蓮さんらしい発想だが……。   「まず近くまで行けないからわかんないっす。それにヴァンサーとすれば硬度はとてつもないっすよ。俺達の力でもおそらく出来ないっすね」   何とも悩ましい。私達では解決できそうにもないし、ここはクロさんが眠りから覚めるまで待つのが一番か?  
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