第八章 魔生人(後編)

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‡   彼を失った後、私はその悲しみを紛らわすかのように魔生物を喰らい続けた。   昔の自分に戻ってしまったのは最初から自覚していた。私だけになった事で段々と理性よりも本能が勝ってしまう。しかし止まらない。頭にあの事が思い浮かんでしまわないように必死になって魔を取り込み、忘れようとしていた。   いや、もうどうでもいい。彼はいない。私がまともに生きていく価値はそれで全部なくなった。   ……森が燃えている。誰がこんな真似を。魔生物がいなくなってはまた別の場所へ移動しなくてはならない。   誰だあれは?見た事がある気もする。だが思い出すのも億劫で面倒だ。簡単に始末して終わりにしよう。   ……まだいる。一つは魔生物だがもう一つは人間?   記憶が曖昧でわからない。意識が自分のものではなくなりつつある。   記憶?私は今どうなっているんだ?   これは……夢?   そういえば何となく気持ちが楽になっている。本能が薄れ、理性が働いているのがわかる。   ……冷静になると嫌でも実感する。私の隣には彼はいない。   でも、私は果たして彼の生死をこの目で見ただろうか。   最後の瞬間、彼は笑っていた。   あれは何の笑みだったの?
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