第八章 魔生人(後編)

5/6

25人が本棚に入れています
本棚に追加
/457ページ
いつもは靄のかかった暗い空が目覚めの景色だったはずが、白い天井に変わっている。   ベッドで眠っていたようだ。しかし、ここはどこ?   窓を開け、外を眺めると討伐協会の本部である高い建物が目に映る。   何で私は首都にいる?   「わっ!?もう目覚めたんすか!?」   特徴のあるこの喋り方は覚えている。確か、彼の昔の知り合いの……名前は健太だったか。   「気分はどうすか?」   「……悪くない」   夢の中限定ではなく、本当に彼といた時の状態に戻っている。……何故?   「宗吉さんの昔の仲間がクロさんを助けてくれたんすよ。今は討伐協会に行ってるっす。後で宿の場所教えるから礼を言っておいたがいいっすね」   ……そうか。朧げな意識の中見えたもう一つはその仲間だったのか。   多分、彼の安否を確かめに遥々羅国から来たのだろう。   「明日、医者のフォードさんを呼ぶっす。それで回復完了していたのなら動いても大丈夫っすよ。でも、しばらくは魔生物を喰らうのは止めた方がいいっすね」   どうやら私の事は調べられているようだ。フォードという奴の名前は知っている。魔生物お抱えの医者として研究所で何度か目にした。   「……ラスターを介していなかったから中毒になったと思う。これからは気をつける」   「ラスターってなんすか?」   口が滑った。クダイノオロチとコクリュウはともかく、ラスターは知られるとマズい。  
/457ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加