第九章 それぞれの思惑

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討伐協会とやらに呼ばれた私達は受付に案内され、二階の会議室に連れられた。部屋には既に向こう側が待機しており、私達も空いている椅子に座る。   机は円卓のようになっていて、私達と討伐協会とを合わせて八つを埋める形となった。   「異国の異能者、まずは突然の御呼び立てに謝罪する。申し訳ない。俺はタイラ。討伐協会の会長代理を現在務めている。残りの者は討伐協会の幹部達だ」   メイデンさんとフォードさんは面識があるものの、他の幹部は全くの初対面で名前も知らない。   蜥蜴?または爬虫類のような顔をしている男達は兄弟か何かだろうか。結構似ている。   よく見ると片目の色が違う。碧と黒が互いに左右逆になっている。   「私は知ってるわね。メイデンよ。左から順にフォード、ゾルマ、ゲルマ。私以外は羅国語話せないから通訳は私と蓮花がして……大丈夫?」   「うん、そうしよう。若菜達は私から通訳を、そちらはメイデンが頼む」   少し面倒にはなるけど、どうせ私は大して話さない。流人君も頷いて会議は早速始まった。   「マネア・クロを発見し、保護できたのは討伐協会にとって大きな前進だ。しかし彼女はデュラン率いる殲滅派魔生物らにも狙われている。近い内に奪い返しに来ると見ていい。そこで、誘導作戦を行いたい」   蓮さんから簡潔に話を聞き、私は何となくどういう作戦なのかを予想できた。   つまりクロさんを餌にして魔生界に行こうという考え。  
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