第九章 それぞれの思惑

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会議終了後私達は宿に戻り、蓮さんはクロさんの様子ついでに健太君に今日の事について報告しに行くと言い、今は私と流人君だけがいる。   「……本当にこれでいいのかな」   罪悪感かどうかわからないけど、これではクロさんに全部任せる感じになってしまう。   「まだその事で悩んでたの?」   「うん……。なんか体よく利用しているだけの気がして」   「ま、その通りだよ。彼らだって言ってたじゃん。手段は選ばないって」   私が偽善めいた事を考えているだけなのかもしれない。学園の一教師の私と帝国軍である流人君との違いかな。私はそこまで厳しくできない。   「……あれ?」   窓が開いている。その縁に黒い鳥が一匹。この街に鳥なんていたのか。壁に囲まれているから、てっきりこういう動物はいないと思っていた。   「……あなた達が私を助けてくれた隠力者?」   私でも流人君でもない透き通った声が耳に入る。私達は一斉に周りを見るが、部屋にはやっぱり私と流人君と……。   「この黒い鳥?」   一瞬でくぎづけになる。まさか……ね。   時が止まったかのように私達は停止している中、黒い鳥は光に包まれ、文字通り変形した。  黒い翼を持つ黒髪黒目の少女……。そして初めて見たときから注目していた学園の制服。   黒い鳥の正体は蓮さんが助けたクロさんだった。  
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