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彼も闘刃も力尽きて伏してしまっている。そこに仁王立ちするのは巨大な古代魔生物。
「愚かな事を。退けばまた力を復活させ、挑戦できるというのに」
「お前……」
いや、怒るよりも早く彼と闘刃を。
「俺は……構わないから吉宗を……」
闘刃が剣のような物を生成し、それを杖にしてかろうじて片膝を立てたまま片足を地につける。
「もう攻撃できる力もあるまい。我には勝てぬ。お前達はよくやった。我に傷をつけたのだから」
「力……か。相変わらず強くて困る」
彼は目覚めない。出血が多過ぎて意識を失っている。このまま輸血しなかったら……。
「クロ、吉宗を……連れて行け。俺はたかが重傷だが、吉宗はやばい」
闘刃が私と彼の前に出て奴に立ち塞がる。
「何故我とまだ戦おうとする?降参すれば命は取らぬと言っている」
「降参?お前は勝ったとでも?」
私と奴のカラダが反応する。闘刃の殺気が意識していなくとも感じる。早く……でも。
「迷うな!!吉宗が死んでもいいのか!!」
半分は彼の命のため、もう半分は脅迫のような形で私は彼を担いで再び翼を羽ばたせる。
闘刃にそれほど力が残っているとは思えない。だがあの気概は何かある。
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