第九章 それぞれの思惑

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「それなら……」   私がザードの言葉を信じようとした時、彼が私の肩に手を乗せて足を立たせる。   「駄目……そんな無理したら」   「馬……鹿、クロが、あいつの所……に、戻った……ら、前と、変わんない……じゃんか」   彼は自空間を創り、大剣を引っ張ってくる。そして肩から離れた手に黒い球体を発生させ、私にそれをぶつけた。   球体は私の全身を包み、物理的に外界とを遮断させる。   「転送……みたいなもんだ。俺の……最後の力。向こう側まで……」   「止めて……私は、私達はずっと一緒じゃなかったの!?こんなのって……」   「させるか!!」   ザードの光の剣が長さを変えて伸びてくる。しかし私に刺さっても何も起こらない。   これは……?   「道は……繋がった。クロ……じゃあな……」   彼が言った最後の言葉はもう聞こえなかった。   彼の名前を必死で叫んだのに。伝えきれていないのに。   私の目に映るものは彼ではなくなり、一瞬にして魔生界の外側に弾き出される。   境界が完全に閉じられたのはその瞬間だった。   「ウッ……ウッ……ウッ……ウアアァァァアアアァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」   空しい叫びは私にしか届かない。それでも叫び続けた。   枯れ果てるまで。  
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