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白っぽい服に黒のラインが入ったスカートを着た黄色い髪の女が私の横に顔を出す。
気配どころか匂いすら感じない。どういうこと?この子の匂いは特殊だから絶対わかるはずが。
「まいど」
彼女は購入したクロノストーンを私に差し出す。
「これは復帰記念ですわ。一ヶ月ぶりですわね、ロゼお姉様」
「シー……」
手渡されたクロノストーンを私が握るとシーは満足した顔をして店を去る。
私は彼女の横をそのまま歩いた。
「監視されてますのね」
前を向いた状態でシーは何気なく話す。
「討伐協会は私に対してデュラン側から接触があると読んでいる。目覚めて以来私の近くには何かしらいるみたい」
蓮花から討伐協会の方針を聞き、何となくそう予想している。
「……その首輪は?」
「謀反しないための物ですわ。滞在も時間制限がありますの」
商店街を出てシーは公園の方に足を運ぶ。子供達が無邪気に遊んでいる中、私達はそこのベンチに座った。
なるほど。ここならば怪しい奴を展望できる。
「ロゼお姉様、お伝えしたいことがあります」
「何?」
「……宗吉は現在意識不明の重体ですの。もう一ヶ月目覚めていませんわ」
彼が一ヶ月……も?自分の心音がやけに速くなる。それに息切れもしてきた。だって私があの時……あの、とき……。
「ロゼお姉様、気をしっかり。大丈夫ですわ。宗吉には研究所内の最新設備を使ってますの。ただ……」
「…………」
「血を流し過ぎたみたいで。今も生死をさ迷っている状態に変わりはありませんわ」
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