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暇だな……。待機というのは昔からあまり好きじゃない。蓮さんはまた討伐協会の方に行ってるし、流人君はあの燃やされた森の調査の協力だかで借り出されてるし。
せっかくだし首都の街を探索してみようか。
クロがこちらに来るのを考えた上での待機だけど……。
「まぁいいか。よし、行こう」
ベッドから跳ね上がり、武器を背負って早速宿から出る。さて、どうしようか。
「あ、え?」
電流が走る……という表しは私には物理的か。隠力の気配を感知した。
結構近い。健太君や蓮さんにしては何か薄い気がする。流人君は夜まで戻らないし。
位置を正確に把握するため、気配を感覚で追跡してみる。
……距離は五百くらいかな?動いてる。
隠力を行使して近づこうとすると急に相手は私から離れ始めた。
私達以外の隠力者……まさか。
加速を強めて接近を試みる。街の人間の間をすり抜け、距離を最短に。
「わわっ!?」
半分くらいまで縮めたところで誰かにぶつかってしまう。上手に避けていただけに当たるなんて思いもしなかった。
「すいません。気付きませんでしたわ」
色白で黄髪の女性が私に手を差し延べてくる。碧色の瞳が綺麗で美人な大人な女性……。
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