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万国語だから何を言っているのかわからない。多分申し訳なさそうにしているから謝ったんだろうとは思うけど。
「あなた……変な匂いですわね。人間とは異なる妙な感じがしますわ。彼らと同じ?」
「??」
まだ何か喋っている。そこで彼女は思いついたように指を鳴らした。
「あ、わかりましたわ。彼らと同じ……羅国の隠力者ですわね。え~……」
「手を貸すわよ、シーザ」
彼女が困った表情をしたその時、茶髪の妖艶な女性……メイデンさんが不意に現れる。
呼ばれたらしい彼女は瞬間的に目を細める。僅かだけど敵意も感じた。
「若菜、彼女の名前はシーザ。クロの妹よ」
「えっ……」
大人っぽいから全然そうは見えない。むしろクロの方が妹のような。魔生人だからかな?
「用件はクロかしら?」
「もう終わりましたわ。それで?自分の仲間を近くで待ち伏せさせておいて私を捕獲するつもりで?」
メイデンさんもやる気だ。ここは街中なのに。まだ多くの人間が私達の間近を行き交っている。
それに魔生物だと認識されるのはまずいんじゃなかったっけ?
「抵抗すれば。あなたも騒ぎにするわけにはいかないわよね?」
何やら駆け引きが行われているみたいだ。互いに牽制していて動こうとしない。
するとシーザさんの手が輝き、光が鞭のようなものに変化する。
「このくらいならできますわよ」
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