第十一章 彼女の決断

2/13
前へ
/457ページ
次へ
シーが去った次の日から私への監視があからさまに強くなった。   どこにいても誰かに視られている気がする。それは黒鳥に変化しても同じ。   討伐協会からの事情は健太から聞いている。奴らはミヤコとリーンの奪回で躍起になっているらしい。   どうするか。私の速度について来れるのは討伐協会内だとメイデンくらい。しかし行き先が天獄の境界と決まっているために、もっと近い場所で私を待ち伏せている奴もいると考えてもおかしくない。   クロノストーンに結ばれていた紙切れ。これに天獄の境界に行くまでの詳細が書かれている。   シーはどうあっても私だけを連れて行きたいようだ。   現在夕方5時30分。   私は黒鳥の姿で若菜達がいる宿まで行き、窓から部屋を覗く。   誰もいない。どこか出かけているのか。とりあえず例の紙を隙間から部屋の中に押し込んでおく。   暗い細道で人型に変化し、首都から外に向かう。歩きながら数を確認すると、全部で四。   北門から出ても走らずにひたすら徒歩で行く。   匂いは三つに減った。大丈夫だ。これなら撒ける。   脚と翼に力を入れて私は一気に跳躍した。   そして限界まで速度を上げる。   やはり追いかけてくるのはメイデンか。   さて、そろそろシーが書いていたデュラン側の奴がいるはずなんだが。  
/457ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加