第十一章 彼女の決断

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空中に奴がいた。目深に被ったフードに錫杖。ザードだ。   「追跡者はメイデン。殺しはしないで。追えなくなる程度でいい」   「一ヶ月ぶりの再会がそれか。だがこれも命令。早くシーザの所へ行け」   旋回して天獄の境界へ急ぐ。以前いた……今は焼け野原になっている森を越えて吸引力を感じた地点から下に着地する。   「ロゼお姉様、お待ちしておりましたわ」   シーザ、それと仮面を付けた人間?が私の前方に立っていた。隠れもせずにいるなんて。私をつけていた連中に見つかってしまわないか心配になる。   「……と言いたいのですが、招かれざる客がいるようですわね」   魔生物の匂いはない。ではシーザの言う奴とは。   振り向くと重いカラダをゆっくりと動かすように背の高い男が斧槍を軽々と持ちながら姿を現してくる。   「魔を喰らうお前達に対抗できるのは俺しかいない。なぁ、同士達」   タイラ。会長代理とはいえ、現段階の討伐協会の一番上にいる者が来たか。   「あなたが来るのも計算の内ですわ」   「ならばミヤコとリーンを渡せ。さもなくばカラダに聞くことになる」   ……タイラは魔生人だ。しかも私はこの男の強さがわからない。魔生人の試作型としか。   「いやらしい奴ですわ。それとも私達姉妹相手に勝てるとでも?」   「それくらいで調度いいだろう。ついでに魔生人の最強が誰かをお前達に教えてやる」   シーザとの共闘。それでも私は勝つには微妙だと考えている。   あの紙を蓮花達が見てくれていたら。
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