第十一章 彼女の決断

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「わかっているんだろう?お前も早く浸蝕されてしまえ。そうしなければ俺とまともに戦えない」   奴の言う通りだ。ここは危険を承知でコクリュウを……   だが意識を預けようとしたところでシーが私の頭を小突く。   「相手の思うつぼですわ。試した事もない強化は無謀。今のロゼお姉様に戻れる保証もありませんのよ」   「でもそうしないと勝てない」   「他に方法はありますわ。ロゼお姉様のここですわよ」   シーはそう言って私の腹部を指差す。   腹部にはラスターがいる。しかしラスターは魔生物を吸収するだけで特殊な攻撃などはない。   「事情はザードから聞いてますわ。多分魔生物のエネルギー自体はそのままのはず」   「どういう意味?」   確かに私のラスターを知っているのは開発者のデュランを除けばシーだけ。それでも一応私の方が自分の古代生物について詳しい。   「デュラン様が教えてくれましたわ。ラスターと意思疎通できれば吸収した魔生物のエネルギーを物理的な破壊エネルギーに変換できますの。ロゼお姉様の隠し技ですわ」   そんな事が可能なのか。私の知らない力がまだあったとは。   デュランのことは忌み嫌っているが、自分の作品に関して嘘はつかない。奴があると言ったのならばあるのだろう。   ……ラスターとの意識の繋がり。正直できるのか?  
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