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向こうから存在を示している。距離が段々近くに。
「あん?」
焦げた大地に仮面をつけた誰かが立っている。そう、立っているだけ。だけどラルフさんは滑るように急停止する。
あからさまな殺気が私達に向けられている。
「これ以上行かせるわけにはいかん」
「その声……」
流人君が思い当たるのも無理ない。私も同じ事を予想している。
誰かは仮面を外し、素顔を表に出す。
「まさかお前達までこの国にやって来るとはな……」
「闘刃君……」
もう信じるほかない。視覚がそれを訴えている。
感動の再会とは程遠く、まるで会いたくない者と遭遇してしまったかのような心境だ。
いや、事実を直面したくなかっただけかもしれない。
「んだてめぇ?」
「お前がラルフか。吉宗が名付けたそうだな。半魔半人の混血……興味深い」
「あいつの知り合いにしちゃあ、やる気満々なのは不可解だぜ」
ラルフは人型に変化し、二本の短剣を逆手に構える。
だけどその前に聞きたいことがあって私は一歩踏み出た。
「何があったらこんな事になるの?教えてよ、闘刃君」
「俺の今回の目的はクロを魔生界に連れていくこと」
混乱してしまいそうになる。あの闘刃君が私達と敵対するということ?
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