第十一章 彼女の決断

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「んなら遠慮なく行……ブヘッ!?」   ラルフが飛び出して闘刃君に牙を向けようとしたが、見えない何かに弾かれてしまう。   「気付かなかったか?お前達の周りには結界を張ってある。事が終わるまで大人しくしていることだ」   感知してようやく理解した。私達の周辺に隠力を感じる。油断していたわけじゃない。闘刃君が隠力の気配を小さくするのが上手すぎるんだ。   「……闘刃さん、何か真意を隠してないですかね?向こう側にいなければならない理由があるとか?」   流人君は結界を壊すのが不可能だと悟り、居座って顎に手をつけて何かを探っている。   こういう事態に意外に冷静なのが彼だ。   「俺は自分の意思でデュランに協力している。これもその一部に過ぎない」   ……わからない。闘刃君は思考を読ませる事をしないから表面を観察しても推測できない。でも、待つだけでは何も始まらないことを私は学習している。   最大生理限界、発動。   「良い覚醒だ。鍛練の末の力か」   「流人君、あれを撃って。私がそこを砕く」   「え……そうか!!よし!!」   炎と氷とを混合させた一点の爆発に高電圧を保った槍で一気に。   「羅亜アアアッ!!」   投擲した槍と流人君が放ったエネルギーが重なり、結界にヒビが入る。再生が開始される前にと私はさらに槍を握り、隠力を酷使して刺突を連続して打った。   「セイッ!!」   破砕した部分から身体を滑り込ませ、壁となっていた結界から脱する。   しかし結界はその直後にまた復元し、私だけしか抜け出せなかった。  
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