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槍を両手で持ち、身体を回転させて下からすくい上げるようにして斜めに振る。
「なっ!?」
闘刃君は私の足元を隠力で爆発させ、私の攻撃を回避してのけた。
思わず手をつき、煙の中から私の顔に向けて偽剣が迫る。
それを掴んでやろうとしたのが失敗だった。
「いない……」
偽剣は瞬時に消え、横蹴りが真っ先に来る。それがこめかみに当たり、脳を揺さぶられてしまう。
私は今の状況で対峙するのを危険と判断し、平衡感覚が乏しいままとにかく後ろへと離れた。
「隠力の扱い方がまだ中級者だな。身体への使い分けがなっていない」
まさか待っているのか。私が機能回復するまで。
……なめられている。
刃先を地につけ、火花を散らしながら突進し、間合いに入った瞬間に一気に振り上げる。
闘刃君は木を背にしていたため、軽く横に流される。だがそれは計算済みのこと。
身体の反射機能を最大限に速くし、十字架を斬るようにもう一回放った。
闘刃君は偽剣を両手で掴んで私の斬り払いを抑える。
「……放電しない!?」
かなりの電圧をかけているはずなのに耐えている闘刃君に電撃が伝わっていない。
「がら空きだな」
「っ……」
鳩尾を突かれ、さらに首を上から叩かれる。動揺していた私は守りをかける前に倒されてしまった。
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