第十一章 彼女の決断

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気絶まではいかなくとも相当な衝撃を与えられてしまった。まだうまく立ち上がれない。   「知ってるか?超純水は絶縁体になり得る。生成に時間がかかって一度くらいしか有効に使えないが」   そうか。闘刃君は分子を操れる。空気中の水を使って……   「もう少し考えて戦った方がいい。そうしなければ魔生界に来てもぶざまにやられてしまう」   「それって……」   「時間だ。クロが帰る。安心しろ。俺が向こうに帰れば結界は消える」   闘刃君の肩に白い鳥が舞い降りてくる。ここから去るつもりなのか。   「待っ……」   「待て」   力強い声が私の隣から聞こえる。見上げてみて私は目をそらした。今彼女は相当キレた目をしている。   「若菜、すまなかった。空中でも一悶着あったんだ。でも私が来たからには大丈夫」   「蓮か」   闘刃君が振り向き、歩くのを止める。   「今日の私は少々……いや、かなり気が立っている。お前がそのつもりならば目を覚まさせてやらなければならない」   隠力の気配の強さが尋常じゃない。対して闘刃君は呆れたような表情をしている。   「蓮。吉宗も俺も昔のままじゃないんだ。そろそろ自分の欲望を押し付けるのは止めにしないか?」   「どういうことだ?」   「言った意味のままだ。俺達には俺達の生き方がある。それとも、俺を連れ戻すか?ここで」   闘刃君が余裕をもっているのも頷ける。蓮さんは相性が悪い。闘刃君の結界はいかなる物理攻撃をも防ぎ、また反撃もできる。   特に闘刃君に戦う意志がなければほぼ無敵と言っていい。  
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