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「闘刃、時間があまりありませんわ」
白い鳥が喋っている。あんまり自分が驚かないのは多分クロの例があるからだろう。
何となくそんな気がした。
「でもこのままだと蓮達も魔生界に連れて行ってしまう」
「あら、心配ですの?」
「……どうなっても俺は知らん」
闘刃君は再び天獄の境界の方向へ歩き出す。蓮さんと私はあっけにとられている感じだ。
「自分の身は自分で守れ。魔生界はそういうところだ。それでもいいなら俺は止めない」
これは一緒に行ってもいいという事だろうか。
すると蓮さんが私の手を掴んで立てらせてくれる。
「お預けだな。今は魔生界に行くことが先決だ。あいつをどうこうするのはその後でもいい。……で、若菜も納得してくれるか?」
「私は別にそんな……」
また勝てなかったのは悔しい。これで私は三回負けた。
まだ傍にいることを認めてもらえていない。
闘刃君は無言でどんどん進んで行く。何か空気が重い。
四年ぶりに会ったけど、印象としては昔よりも厳しくなったような感じがする。『敵』になったからかもしれないけど。
「闘刃。宗吉は生きているのか?私はどちらも気掛かりだ」
「……生きてはいる」
「何だその曖昧な言い方は?」
「死んではいない」
確かに妙な表現……ひょっとして宗吉さんは今死んではいない状態にある?
その言葉で考えられるのは……。
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