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仲間ではないと言っても同種の者だっただけに罪悪感が生まれる。
私は彼に会いたいがためにとんでもない事をしているのでは……
「ロゼお姉様」
相当茫然としていたのだろう。すぐ近くにシー、それから若菜、蓮花、闘刃がいることに気付きもしなかった。
「タイラを殺ったか。自分と同じ種族を葬る辺り、お前もかなりエゴの強い奴だな」
その言葉に反応し、私ではなくシーが闘刃の襟首を掴む。
「ロゼお姉様は宗吉のために……」
「そうだな。仕方なく、だ。だから別に俺は悪いとは言っていない」
「……わかってますわ」
手を離し、シーは一息つく。若菜達は知らないが、私はタイラを始末しなければならない理由があった。
彼の命はデュランの手中にある。奴の命令に従わなければ殺される恐れもある。
その命令は二つ。私が魔生界に戻ることと、タイラを抹殺すること。
「行きますわよ、ロゼお姉様」
「……」
この選択は正しかったのだろうか。自分で考えるのは難しい。
「悩むのはいいが、これから天獄の境界に入る。その間は抜けることだけに集中してくれ」
闘刃の注意と吸い込む風の強さで現実に戻される。
今からこの境界を越える。思えば闘刃とシーはどうやってこちら側に来たのか。
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