第十二章 境界の先に

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私が知る限りでは彼のヴァンサーブレードを使うことだけ。   「……シーザとクロはどちらが力が強い?」   「多分ロゼお姉様ですわ。私は非力ですの」   シーは非力と言っても人間と比べれば遥かにある。しかしコクリュウが宿る私の両腕の力はどうも凄いらしい。   「クロは蓮と若菜を頼む。両方足しても百前後だから重くはない。シーザは行きと同じで」   境界まであと五十メートル程。踏ん張りをきかせないと飲み込まれて……   「ん?」   風を感じなくなった。急に。外から部屋に入った瞬間に似ている。   「俺の結界の中でも特殊なやつだ。そして……」   闘刃が地面に手をつけ、すると一定間隔に白い光が足元から灯り出す。   「発光体は目印がわり。向こうまでは歩けば数十分かかる。幅は一人分しかない」   ついに境界内部に足を踏み入れる。   何だ?以前に渡ったときよりも異様に緊張する。今私が若菜と蓮花の命を預かっているからか?   前を歩くシーと闘刃はなんともなく普通に歩いている。   落ちたら死ぬ。よく言われている噂だが、疑わない者はいない。   上空数千メートルでも引き込んでしまうこの境界は、あのデュランでさえその原理を解明できていない。   「!!?」   足場が変だ。止まっているはずなのに揺れている。   「じ、地震!?」   しゃがんで重心を低くし、何とかもちこたえられたら……。   だがこの細い道が耐えられるのか。   「崩れる!!クロ!!ふた」   ついに若菜達がいた所から道が割れ始める。コクリュウを解放し、若菜と手を繋いでいる蓮花の手を掴む。  
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