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私が知る限りでは彼のヴァンサーブレードを使うことだけ。
「……シーザとクロはどちらが力が強い?」
「多分ロゼお姉様ですわ。私は非力ですの」
シーは非力と言っても人間と比べれば遥かにある。しかしコクリュウが宿る私の両腕の力はどうも凄いらしい。
「クロは蓮と若菜を頼む。両方足しても百前後だから重くはない。シーザは行きと同じで」
境界まであと五十メートル程。踏ん張りをきかせないと飲み込まれて……
「ん?」
風を感じなくなった。急に。外から部屋に入った瞬間に似ている。
「俺の結界の中でも特殊なやつだ。そして……」
闘刃が地面に手をつけ、すると一定間隔に白い光が足元から灯り出す。
「発光体は目印がわり。向こうまでは歩けば数十分かかる。幅は一人分しかない」
ついに境界内部に足を踏み入れる。
何だ?以前に渡ったときよりも異様に緊張する。今私が若菜と蓮花の命を預かっているからか?
前を歩くシーと闘刃はなんともなく普通に歩いている。
落ちたら死ぬ。よく言われている噂だが、疑わない者はいない。
上空数千メートルでも引き込んでしまうこの境界は、あのデュランでさえその原理を解明できていない。
「!!?」
足場が変だ。止まっているはずなのに揺れている。
「じ、地震!?」
しゃがんで重心を低くし、何とかもちこたえられたら……。
だがこの細い道が耐えられるのか。
「崩れる!!クロ!!ふた」
ついに若菜達がいた所から道が割れ始める。コクリュウを解放し、若菜と手を繋いでいる蓮花の手を掴む。
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