第十三章 天獄の管理者

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何も見えない。   私は生きている?まさか死後の世界にいるなんて夢物語はないと思いたい。   でも本当にここはどこなんだろうか。天獄の境界で落ちてしまったところまでは覚えている。確か、揺れが起きて足場を失ってから……。   地面を触ってみる。ざらざらしていて砂のような感触だ。   現状がどうなっているのか知りたい。明かりは隠力で作れないこともないけど、火花が耳に障る。   「あ、どーも」   光が発生し、周囲が少しだけ見えるようになる。   ……ん?   「隠力の気配がしたから近くにいると思っていたが」   「と、と、と……」   間近に闘刃君の顔がある。それだけで私は跳ね上がり、つい槍を構える。   「何だ?再戦か?」   「あ、いや、そういうわけではなくて」   仰天したのもつかの間、闘刃君が私の頭に手を近づけてくる。   触れるのかと思ったらそうではなかった。   「怪我は……ないか」   「な、ないですよ」   あの時は首とこめかみを攻撃されたが、今は異常ない。   「いや、それよりも」   「この明かりか?これは境界で使っていたやつと同じものだ」   「そうじゃなくてですね……」   あれ?今気付いた。闘刃君の首もとに何かある。襟で隠れていたからわからなかった。   機械みたいな首輪だろうか?どこかであんな感じの物を見た記憶がある。  
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