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彼の屈託のない笑顔が、消えた。
「………まじ だりぃ…」
さっきの彼からは出てこないような言葉が発せられる。
心なしか声のトーンも少し落ちている。
その端正な顔かたちは変わらずとも、顔つきはまるで別人になっていた。
とても冷徹な無表情。
夕暮れ時の教室の中で漆黒の瞳が妖しく揺らめく。
その時私の頭の中は ? で埋め尽くされていた。
今私の瞳に映ってる人は誰?
さっきの笑顔は夢?
この人、 誰!?
色んな疑問がぐるぐると頭の中を回る。
パニックに陥った私は、
運悪く手に持っていた科学の問題集を落としてしまった。
「あっ……!;」
小さく声を漏らした後にハッとし、口を手で押さえる。
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