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彼女は、静かに話し始めた。
「さっき私、凜にジュース買って来ようと思って自販機に行ったの。」
「うん。」
「それで凜が好きなカフェオレ買おうとしたんだけど、
一番上の段で 届かなくて…」
そこまで言って、
雛羽は瞳を更に潤ませる。
「そしたら知らない男の子達が「どうしたの琴平さん?」っていっぱい聞いてきて、」
私はそれに「うんうん」と頷きながら話を聞く。
「私 どうしたらいいか判んなくて、そしたらその人達が勝手に今日の放課後会う予定たてられて…っ…」
雛羽の瞳からポロポロと涙の粒が零れ落ちる。
うぅ…と泣く雛羽に替わり、私が次の言葉を担う。
「それで逃げて来たのね…?」
私の言葉に雛羽は
また、無言でこくこくと頷く。
「凜…どぅしよぉ…」
涙の止まらない雛羽に私は頭を撫でながら言う。
「じゃあ、 今日は2人で帰ろ」
そう言うと、雛羽の顔がぱぁーっと明るくなる。
それと同時にチャイムが鳴った。
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