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「っ、は……、」
少女は暗い森を走り続けていた。
ひたすら、ただひたすら走る。
黒髪の少女は漆黒のコートを翻し、風を切るように、追っ手から逃げていた。
「……っ、このままでは逃げ切られる」
「森を出る前に、始末しなくては……」
「仕方ない……焼き払え」
黒ずくめの男達は手榴弾のピンを引き抜き、少女に目掛けて投げた。
手榴弾が空を舞う間、男達は少女に背を向けて森から逃げ出す。
少女は目の前に降ってきた真っ黒な爆弾を目で追いながら、ただ逃げることだけ考える。
トン、
爆弾が地に落ちる。
その瞬間、その刹那、
真っ暗な森に激しい光が指した。
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