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「でもさ、でもさ、いい加減なんか仕事しねぇとヤバくね?ウチらなんだんだで金使いきってるし。もし仕事やるならドサーっとしたお金が欲しいんだけど」
さっきまで笑っていたものの、栗栖は今自分達の置かれている状況はよく理解していたようだ。
「ぶっちゃけると、今仕事しないと今日からメシ抜きですな」
熊猫は財布をひっくり返し、中身が無いことを強調している。
悲しい事に財布からは銅貨一枚もでてこなかった。
「じゃ、1番お金が貰える依頼やりません?これとか。」
百舌鳥は掲示板の1番目立つ場所に貼られた、一枚の依頼用紙を取ると二人に見えるように見せた。
「討伐依頼…【急募!!地元魔王の討伐モトム!!】……地元魔王かぁ、なんか御当地戦隊を彷彿とさせるな」
熊猫はしみじみとしながら依頼用紙を読んでいる。
「百舌鳥ー、これマジな感じ?」
栗栖は挙動から既におかしかった、ワクワクしすぎて挙動に影響が出ているようだ。
「ジモッティな魔王だから、私らでもイケるかなぁと思いまして」
「アタシは行きたい!!討伐!!討伐!!」
百舌鳥は相変わらずだったが、栗栖はテンションが上がっている。ハンターとしての血が騒ぐのだろう。
「まぁ良いんじゃないかな、お金が良いですぜコレ。終わればしばらくは財布がずっしりだよ」
熊猫も、どうやらやる気が出ているようだ。
「それじゃ、行きます?」
百舌鳥は釘バットを肩に担ぎ、二人を見た。
「魔王のパンツ剥ぐぜうひひ」
栗栖は先程から愛用の薙刀を恍惚とした表情で眺めまわしている。
「地元魔王ってなんか中ボス以下な名前だよねー」
熊猫は道具の確認し終え、準備を終えていた。
「じゃ魔王退治にいきますよっと」
百舌鳥はニヤリと笑ったようだった。
百舌鳥が言い終わると同時に、三人は町の出口に向かい歩き始めた。
そして、三人は言いたい放題言いつつ、魔王がいると言う『オワタ樹林』に向かう為、一旦町を後にするのであった。
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