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三人が『オワタ樹林』へ向かっている頃、そのオワタ樹林の入り口近くに二人の人影があった。
「なぁなぁ、ここが例のオワタ樹林なん?」
「そうだな、ここら辺に噂の魔王がいるそうだ」
昼間にも関わらず、厚い雲が空を覆っているせいで、辺りはずいぶん薄暗くなっていた。そのせいか会話をしている二人の姿は、はっきりとは見えなかった。
「へぇ、最近は雑魚ばっかりで飽き飽きしてたからなぁ。魔王くらいなら俺の相手に調度えぇかもなぁ」
そう言うと、片方の人影はニヤつき始めた。
どうやら、声や背格好からすると男のようだ。
「おいおい、ワクワクすんなよなー。あと楽しみだからって今からはっちゃけるなよ?」
もう片方は宥めるように言い聞かせている。
どうやらこちらは女性のようだ、女性らしいシルエットが辛うじで見えていた。
「まぁええやん、楽しみなのはお互い様やろ?それに……」
薄暗かった樹林入り口にうっすらと光が差し込んだ。
「なんか、面白いことありそうな気がするんよ」
そこにはサングラスををした紅髪の青年の姿があった。
そして、彼はもう一人の方を見た。
「お前の予感は当たるときは当たるからな、期待するぞ」
青年の目線の先には黒いライダースーツの女性の姿があった。
彼女はややぶっきらぼうに、そう言い放った。
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