おやすみ

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そのモサモサと近づいてくるヤツは、自分の左側をつたって来ているらしく、 左脚の脇を通り、手に遠慮なく乗り上がったと思えば、腕をのそのそつたい、肩の付近まで来ている。 左手にヤツが乗った時にわかったことは、わりと軽いということと、毛をまとった動物系であること。 顔の周りまで来た。 柔らかい毛が当たってこそばゆい。 もう恐怖は消えていた。 自分はゆっくりまばたきをして、肩と首の間に挟まって動かなくなったそいつを両手で持ち上げ、胸の上に置いた。 「おまえか。」 モサモサフワフワした茶色のウサギが、きょとんとした顔でこちらを見つめていた。
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