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視界を埋め尽くした光が収まるとそこは見慣れない暗い石造りの部屋。何だかどこかの遺跡みたいだがそんなことを考えるより先に……孝一の前にキラリと輝く一対の瞳が。輝くと言っても獣のように反射して光ってるのではなく薄ぼんやりと目そのものが光の塊のように光っている、そしてどうやらその相手は人の輪郭を持っていた。
「これか……まぁ間違いは無いはずだがな」
突然の出来事と変わった風貌の相手にしばし呆然としていた孝一だったが、とりあえず言葉の通じる相手らしいので聞いてみることにした。
「あのぅ、ここはどこっ……」
「早いとこ出なきゃ不味いな」
言うなりそいつは人の輪郭を崩し、まるで液体のようにかわり孝一に押し寄せる。例えが悪いが不意にゴキブリとかつかんじゃった時の硬直に近いぞわっとする感覚を味わいながら体は停止。変わった人かと思ったら人ですらなかったようだ……。
近くで見るとすべてが暗い色の何か分からない質感の物体だった、そして目の前を今度は暗闇に埋め尽くされた孝一は「言葉が通じることと話が通じることは別のことなんだなぁ」なんて考えながらまとわりつく何かの中、次第に意識を失っていった。
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