序章

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私の言葉にリスさんは、少し考え黙っていた。 「そのうち追って説明するのじゃダメかな? 僕は君に話せない事があったりするから、言葉を選ぶ時間が欲しいんだ」 そう言うリスさんは、本当に困っているように見えた。 聞けなかったのは残念だけど、私はこの子が今までにない出来事の始まりになるような予感を感じた。 私の生活を変えてくれるような気がした。 だから……。 「うん、分かった。君が話せる時まで待つよ。今はとにかく家に行こう」 「ありがとう。本当に助かるよ」 だから……。 「体が冷たいから、温めなきゃね」 私は持っていたタオルでリスさんを包んだ。 「何から何まですまない」 そう言って、リスさんは瞳を閉じた。 「大丈夫だよ」 私は家を目指して歩き出した。
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