第一章 わたしが魔法剣士

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時刻は七時、白石家のリビングには朝日が差し込んでいた。 台所の前にはテーブルと五つの椅子があり、一人の男と小学生の女の子が座っていた。 「……んで、このリスはどこで見つけてきたんだ?」 黒色の短髪にスラッとしているが、がっしりした体を持つみことの父、優真は腕を組んで椅子に座っていた。 「このリスさんは、山の方に朝ランしに行った時に見つけたんだよ……」 優真が座る席の反対側には、困った顔をしているみことがテーブルの上のリスを見て、そう言っている。 台所にいる母の梨桜はそんな二人を笑顔で見ながら、朝食の支度をしていた。 そんな時、優真は両手を腰にやり、不意に立ち上がった。 「残念だったなみこと。我が家の約束で朝ランはどこを走ることになってたっけ?」 みことはその言葉にビクッと反応した。 「えっと……。海岸沿い……だよ」 優真はそんなみことの言葉を聞いて、してやったといった顔をした。
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