第一章 わたしが魔法剣士

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「みことはどこを走ったって言ってたっけ?」 「山の方……」 みことは、口を尖らせてそう言った。 みことから本当のことが聞けると、優真はにやけていた顔を安堵の顔に変えて椅子に座り、ため息をこぼしてみことを見た。 「いいか? みこ……」 「まぁ、そのくらいにしといてあげなさいよ。とにかく無事だったし、このリスちゃんを見捨てなかったのも、この子が優しい証拠じゃない。それとみことは、朝ごはん食べちゃいなさい」 麦茶と食パンの乗ったおぼんを持ちながらそう言ったのは、母の梨桜だった。 みことはそれを受け取り、席について食べ始めた。 みことを助けた梨桜は、そのまま優真の隣の席に座り、腕に抱きついた。 「私たちの子どもが成長してる。喜ばしいことじゃない」 「ママ、しかしな……」 「まったく、そんなパパでは嫌われちゃいますよ」 優真は妻の梨桜には弱く、何も言い返せないで、うなだれていた。
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