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--大杉の森、深夜--
木が生い茂る森の上空に、一閃の細く真っ白な光が空より舞い降りた。
その光は木々を掻き分け、この大地、『地球』に到着した。
光が次第に収まると、そこには水色の毛の混じった茶色の体のリスが一匹。
「はぁ……はぁ……はぁ……。どうやら僕は、目的の世界に来れたみたいだ」
僕の名前は、シアン・セルグレイト。
ある物の回収の任務を受けて、別の空間からやってきた。
今は、こんな事くらいしか言えないけど、きっと近いうちにわかると思う。
「それにしても……」
シアンは自分の体をぐるっと見て、ため息をついた。
……実はさ、空間移動は体が大きければ大きい程、かなりの魔力を消費してしまう。
だから、体をリスくらいまで小さくしてみたんだけど、空間移動でほぼ全ての魔力を使い果たしちゃったみたいで、元に戻れなくなっちゃったんだ。
空間転移にこんなに魔力が必要だったなんて思わなかったし、魔力が戻るまではこの格好でいなければいけないんだ。
でもこんな短い手足じゃ、移動に時間がかかってしまう上に、戦う事ができない。
困ったな……。
「まぁ、とにかく移動してみよう」
シアンは、暗い森の中を目的なしに走り始めた。
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