~訪ねるもの~

13/18
前へ
/19ページ
次へ
 次の瞬間、男は動いた。  ギラリと不気味に光る日本刀を、黒サンタの首に向け、真横に振った。  けど、黒サンタは動かない。  当然だ。オレでもその理由がわかる。  刃が明らかに届かないんだ。  間合い、っていうんだったか。それが全然間違ってるんだ。  だけど、男はそこで、さらにオレの想像を越える行動に出た。 「舞え、蜥蜴丸」  振っている途中の刀から、手を離したんだ。  男が言った通り、刀はヒュンヒュンと音を立ててウチのリビングを舞って、そして壁に深々と刺さった。 「「うあぁああああ!!」」  次の瞬間には、オレと弟は悲鳴を上げていた。  長髪の男が刀を手放したからじゃない。  ゴロリ、と。  黒サンタの首が足元に転がってきたからだ。刀は空中で回転しながら首を切り落としたらしい。 「くくっ……! いい格好だ」  嘲笑う男がサンタの頭を踏みつける。  すると、真っ二つになったサンタの首から、わずかに黒い煙が出た。 「ひっ!」  オレと弟は、壁際ぎりぎりまで後ずさる。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加