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次の瞬間、男は動いた。
ギラリと不気味に光る日本刀を、黒サンタの首に向け、真横に振った。
けど、黒サンタは動かない。
当然だ。オレでもその理由がわかる。
刃が明らかに届かないんだ。
間合い、っていうんだったか。それが全然間違ってるんだ。
だけど、男はそこで、さらにオレの想像を越える行動に出た。
「舞え、蜥蜴丸」
振っている途中の刀から、手を離したんだ。
男が言った通り、刀はヒュンヒュンと音を立ててウチのリビングを舞って、そして壁に深々と刺さった。
「「うあぁああああ!!」」
次の瞬間には、オレと弟は悲鳴を上げていた。
長髪の男が刀を手放したからじゃない。
ゴロリ、と。
黒サンタの首が足元に転がってきたからだ。刀は空中で回転しながら首を切り落としたらしい。
「くくっ……! いい格好だ」
嘲笑う男がサンタの頭を踏みつける。
すると、真っ二つになったサンタの首から、わずかに黒い煙が出た。
「ひっ!」
オレと弟は、壁際ぎりぎりまで後ずさる。
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