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「おっと……。怖がらせてしまったな」
パンッ!
ダンッ! と。
まるで、風船を踏んでいて割れた時のように、サンタの頭が弾けて黒い煙になり、男のブーツが床を鳴らした。
オレはその時はじめて、男が土足だということ、黒サンタが人間ではないことに気づく。
「神隠し、って知ってるか?」
そうして固まっていたら突然、問いかけられた。
助けを求めて弟に目を移せば、弟は小さな声で、
「早くこたえて!」
とオレを急かす。なんて薄情なブラザーだろう。
「し、知ってる……ます」
どもりながら、答えた。
タメ口で答えたら殺されるんじゃないかという、恐怖もあった。
けどそんな俺を見て、男はふっ、と人間らしい笑みを見せる。
「心配するな。俺は君達に手を出したりしない。俺はただ……」
けど、それも一瞬。
男の口が裂け、目は、ギョロと見開かれる。
そうしてまた、おぞましい笑顔に戻った男は、壁に刺さった刀を抜いて──
「ただ、このゴミを処分しにきただけだ」
頭と右腕のなくなった黒サンタの胸に、深々と突き刺した。
「「ひぇっ!?」」
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