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暗くなった窓の外に、雪がちらちらと舞っていた。
雪はしんしんと降るものらしいけど、今日はぽつぽつといった感じだ。
冷え込むと、天気予報で言っていた。
父さんは今日も遅くまで仕事らしい。
オレは窓のカーテンを締めて、小さくため息をついた。
「なぁ、オレが悪い子だから、サンタさんが父さんを取っちまったのかねぇ」
「兄ちゃんのせいじゃないだろ。会社がわるいんだ、ぜったい」
弟は、鼻息を荒くしてフォローしてくれる。少し、心が痛んだ。
「ま、父さんがお仕事頑張れば頑張るほど、オレらのプレゼントもりっぱになるんだからさ。我慢しようぜ?」
「小3の弟にユメのないこと言うなよ」
「オレは三年前──お前の歳にまくら元ですべって転んだ父さんに夢を壊されたんだ。お前に同じ思いはしてほしくないのさ」
実に最悪な思い出だと思う。けど、
「くくっ」
あの時の父さんの焦った顔を思い出してみれば、笑いがこみ上げてきた。
「ぷくっ……あははっ!」
弟もつられて笑う。
そうして笑ってるうちに、母さんがオレらを呼んだ。ご飯ができたらしい。
毎年恒例の、母さんのスペシャルオムライスに、手作りケーキだろう。いい匂いがした。
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